
3日連続の,日本学級経営学会第7回研究大会に関しての投稿です。
【参照】
ついに?やっと?とうとう?日本学級経営学会の第7回研究大会(2025/03/01)において口頭発表を行うことができました。
阿部隆幸「1年を乗り越えた初任教師はどんな出来事にどう考えてどう対応したのか−SCATの分析から見えてくるもの−」
第7回研究大会の発表者一覧は,1か月半前に公表されました。それを見た何人かの方から「今回,阿部先生も発表されるのですか?すごいですね!」とか「尊敬します」などと言ってくる方がいました。それはそれで,ありがたいことですけど,恥ずかしいことでもあります。
なぜなら,研究を生業にする大学人にとって,学会で発表することは,言わば当たり前のことです。ですから「すごい」とか「尊敬します」と言われるということは,今まで私がそういうことをご無沙汰してきたことが可視化されたことになるのです。
もちろん,「過去に十分に論文や学会発表の実績があり,今は主に学生指導に軸足をおいている」とか「論文や学会発表以外に実績が十分あり,今もそちらで十分に実践を積み重ねているので論文や学会発表の必要がない」という大学関係者はたくさんいらっしゃいます。学会に対してのそれぞれの立場は異なることはここに書いておきます。
私は,上に書いた諸々の事情を持たない人間なので,残り少ない大学人生活,積極的に進めたいと思っています。そろそろ,キャリアの終わりも見えてきたので,業績を稼ぐというよりも,自分自身の興味関心をもとに,「やりたい」または「やれる」研究を行い,それをアウトプットするということを進めていきたいのです。
お集まりいただいたことに感謝
ありがたいことに,たくさんの方にお集まりいただき発表を聞いてもらうことができました。きっと「共同代表の人間が発表するんだって?そういう人間がどんな発表するのかみてやろうじゃないか」という興味本位の方や,「共同代表の人間が発表するのだからさぞかし立派な発表をするのだろう。お手本にできるかな」という学びのモデルとして参考にしようという方が,たくさんいらっしゃったのかもしれません。
ごめんなさい。こんな感じでした……苦笑。
今の私の姿です。
単なる学会発表の口頭発表の一つです。この場所に立てば,他の研究発表を行っている方と同じで,私も「学徒」の一人です。偉いも偉くないもないし,肩書も何もありません。
そう言う意味で,平等だなと思います。
授業やセミナー,講座,講話と異なり,とてもとても緊張しました。
15分という発表時間にピタリ合わせようと,何度も練習し,ゼミ生が設定した事前の発表練習に参加して,ゼミ生から意見をもらうなどして取り組みました。
私なりに一生懸命行ったわけですけど,お手本にはならなかったですね。見本にはなったかもしれませんけど。私の発表を見て,こんな感じの発表でいいのなら私も取り組んでみようと思う方が一人でも増えたらうれしいです。
今回の発表について
今回の発表は,本来であればもっと前に発表すべき内容でした。データを集めたのは数年前のことですからね。しかし,他の所用に携わらなければならないという自分への言い訳で取りかからないまま過ごしてきてしまいました。
そんなこんなでの今回です。お蔵入りさせず,集めたデータを成仏させてあげることができたということで,なんとかホッとしております。
発表を延ばし延ばしにしてきたことへ自分自身のだらしなさを感じる反面,この時期の発表で良かったなと思うところがあります。それは,今回のテーマにも入れていますが,SCATという分析手法との出会いです。
私は,「教室内で何が起きているのか」というところにとても興味があります。そのためには,自分は量的な研究ではなく,質的な研究だなと思っています。もちろん,そのためには背景として量的な研究データが必要です。こちらに関してはこちらを専門的に研究している方からのデータを用います。
質的分析の手法は,いくつかあるわけですけど,「教室内で何が起きているのか」を分析していくためのよりよい方法をずっとずっと探していました。そこで,出会ったのがSCATであり,うえの式質的分析法です。
私がどうしてこの2つの研究手法がよいと感じるのかは,いつかその時が来たら語りますが,今回の研究において,インタビュー取得時は,まだ私はSCATに出会っていませんでした。リサーチクエスチョンは当時も今も同じものでしたけどね。だから,データを取得した当時に発表をしていたら,今回とは全く違ったアウトプットになったことでしょう。しかし,データを取得して取り組めなかったのは,どのように進めようかという悩みがあったから進めなかったとも言えるので,改めて,SCATとの出会いが今回の発表を後押ししてくれたということになります。ありがたやありがたや。
そして,これから
今回を再始動のきっかけに,ちゃんと研究発表を継続的に進めていきたいと考えています。すでにいくつか構想はあって,今週から新たなデータを取得し始めます。協力してくださる方に感謝です。
今まで書いてきたことと反対のことを書いてしまう形になりますが,別にアウトプットの場は学会発表に限りません。
論文や学会発表とは別な形での「研究」のアウトプットもしていこうと思います。先日書いた「学びのモデルプロジェクト」の始動です。
ちょうどいいくらいの人数とめちゃくちゃ熱い熱量を抱いた方々が集まってくれたので,おもしろいことを作り出せそうな予感でいます。
学術的に提案したほうがよい場合,もしくはそれを希望する方にはそれを後押しするとともに,もっと機敏にアウトプットしていこうというときは,どんどん出していこうと思います。
学術的に進める時のデメリットは,手続き等々があるので(ファクトチェックとか諸々,大切なことなのだと了解しています),実際に表に出すまでに時間がかかることです。最近の海外の様子を見ると,特に自然科学の世界で,査読を得る前に,その途中でも公開してしまう流れがあるということを聞きました。これは,このデメリットを解消するための一つの動きと聞いています。
確かに,どんどん時間の進みが早くなっているのに,「学術」の部分は過去の仕組みのままというのも変ですよね。
アウトプットの選択肢を複数持ち,インプットの選択肢も複数持つことができています。
おもしろいですね。
歳を重ねて,キャリア終盤の今,その中でも興味関心を抱き続けられる環境を築いてもらい,私と関わる皆様に感謝し続ける日々です。
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