授業中での学級経営の機能や役割について,考えてもらう,気づいてもらう,ことを目的として「授業における学級づくり論」という科目(学部向け)を立てている。
この科目の中心は,学級経営の機能を意識した模擬授業である。
「学級経営の機能を意識する」ことが最大限のテーマなので,授業内容はなんでもいい。関係ない。でも,「なんでもいいです。自由です。」と言われるほど不自由なことはない。
そこで,自分のコア・クオリティを見つめてもらい,コア・クオリティをみんなと共有してもらう授業を考えてもらうことにしている。
コア・クオリティとは(精度は下がるけれども,ざっくばらんな言葉で説明するなら)「自分の好き,強み,こだわり」のことである。
模擬授業を始めて2週目。
今年はどんな授業が……と(毎年のことだが)心配するけれど,今年も例年以上におもしろい授業が続いている。
特に,今年の学生には,表面的な「好き」ではなく,自分の内面と相談しての「好き」が授業にあらわれている感じがして,なかなかにおもしろい。
授業をつくっていくにあたって,授業者の「意識上」のものと「意識下」のものがある。
授業後,「意識上」のものにしてはその先の部分へ,「意識下」のものは直接的に「意識下」のものに触れてあげることが,「へえっ」そういうことなのか,そういうこともあるのね,と気づいてもらう「価値」なのかなと思っている。
今日も,それを意識して授業後のコメントをした。(どれだけ,わたしが学生に「なるほど」と思ってもらえるようなコメントができたかは不安である)
学んだことをすぐに使ってみる価値
今行っているワールドカップをクイズ形式学ぶ授業を考えてきた学生がいた。その際,kahootを使って行った。授業後のやりとりで,他の授業でkahootを知ったため,今回,自分の模擬授業で使ってみたいと思い立ったという。学んだことをすぐに取り入れてやってみよう(やってみたい)と思う行動力はステキだ。
かつて,この授業で,「音ゲー」大好きな学生が,授業でスクラッチを学んだことをきっかけに,スクラッチを使って自分なりに音ゲーをプログラミングして,学生みんなに楽しんでもらったということがあったというエピソードを紹介した。このようなエピソードの積み重ねをしていきたい。
タイムマネジメントの妙,早く終わることはどうか
模擬授業時間は20分としている。
20分を超えたら,(多少は認めるが)途中で切ることを事前に伝えている。また,自分が進めたいことを存分に行ったのであれば,早く終わるのは全然構わないと伝えてある。
もちろん,どの学生も20分丁度をめざしているのだろうけど,面白いのは思っているよりも早めに進んでしまい,時間がそれなりに余ってしまうときの学生の対応だったり,表情だったりする。
再度,確認する。
「自分が行いたいことが存分にできたのであれば,早く終わってしまって構わない。無理に長くすることで,良い授業も間延びして中途半端な感じになってしまう。実際の子どもたちもそうであり,授業が少し早く終わるとそれだけで得した気分になるではないか」
意識下で行うグループを意図的にするかしないかが学級経営観を反映させる
見ると「近くの人と4人グループをつくってください」という学生もいれば,「4人グループをつくります。くじを引いてください」という学生がいる。この一つとっても,授業観を反映させていると学生に伝える。客観的な良し悪しがあるかもしれないが,ここはそれは脇において,「自分の模擬授業はどうしたいか」というところの,「こだわり」感が生じると思う。
この時間は,グループで活動するが,近くで座っている自分と距離感の近い人達で班を構成してもらって構わないと思うか,自分の意思が反映されない,偶然性で構成されたグループで活動してもらいたいと思うか。そして,それはなぜなのか。ほんのちょっとしたことだけど,こうしたこだわりに自分の授業観が反映されていくと思う。
学生に言っていないこと……注目すべきはインストラクション
まずもって,こうした「活動的な授業」の肝は,インストラクションだなぁと感じている。もちろん,環境設定だったり,活動中のアセスメントだったりもするけどね。
とはいっても,20分という短い時間での模擬授業。圧倒的にインストラクションの影響は大きい。ここは,私自身の中で考え,整理し,分析している最中で,学生には伝えていない。
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