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編著者 阿部隆幸
執筆者
薄玲那,大内秀平,菊池真人,國井あつ子,久保木靖,佐々木潤,鈴木優太,清野弘平,髙橋恵大,武田直樹,中嶋拓朗,本田明菜
おすすめポイント
「学級経営DX(デジタルトランスフォーメーション)」はわたしたちの造語です。
言葉のつくりとしては,「学級経営」と「DX」を単につなげたものですが,「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の意味を掘り下げると,とても深い意味合いになるとわたしたちは考えています。
それは,単純な学級経営の様々なモノやコトにICTを取り入れようという発想や提案ではないことを意味します。つまり,ICT利活用の書籍ではないということです。
いわば,「学級経営」の価値観の転換,マインドセットの転換であり,デジタルがそれの助けになるということです。または,わたしたちが提案するデジタルの使い方をすれば結果的に価値観の転換,マインドセットの転換へつながっていくということです。
ですので,この本はICTの使い方よりも,デジタルを活用して変化していく子どもたちの姿(エピソード)を中心に取り上げると共に,「DXポイント」という項目を設けて,どこがどのようにDXなのかを指し示すような書き方で実践例を紹介しています。
他にも強調したいところは多々あるのですが,執筆者の特徴2つを取り上げて本書の魅力を紹介します。
一つは,執筆者全員が一般の公立小学校教員であるということです。研究指定校教員でもなければ,先端の施設,機器を使える環境にありません。つまり,GIGAスクール構想で整備された一般の学校教育環境の中で実践できる内容であるということです。みなさんが手にとったその日から,「やろう!」と思えばできるということです。
二つは,日々,学級経営を丁寧に紡いできた教員たちということです。つまり,まず「ICTやデジタルありき」の考え方ではなく,学級経営に重きをおきながらその充実にデジタルを取り入れたことを紹介しているということです。もしかしたら,最先端のICT技術やデジタル技術を日々使いこなしている方にとっては幼い内容のものもあるかもしれません。しかし,毎日の学級経営の充実に身を置きながら現場の教員が実感を経て生み出した内容であると自負しています。ですから,ICTやデジタルにあまり触れてこなかった方も学級経営DXのイメージを把握しやすいつくりになっています。
この本をもとに,セミナー等イベントも考えています。学級経営DXの考えや動きをみなさまと共に深められたら,広げられたら,うれしいです。
ぜひ,手元においていただき,みなさまの学級経営の更新(アップデート)のお手伝いができましたなら幸いです。
目次
はじめに
第1章 学級経営DXとは
学級経営DX のイメージ
学級経営DX を定義する
学級経営DX とICT 利活用教育との違い
学級経営を再定義
第2章を通して本書が主張したいこと
第2章 学級経営DXを実践しよう
生活
01 デジタル予定表を作成して活動の見通しを持とう
02 プロフィールカードを作って気軽な自己開示をしよう
03 互いのよいところを見つけてぽかぽかメッセージを贈ろう
04 友達のがんばっていることをコメントで応援しよう
05 電子掲示板で友達のいいところを探そう
06 お手紙やお礼に動くメッセージカードを作ろう
07 生徒指導案件の聞き取り内容はチャット機能を用いて即時共有しよう
08 「ちりも積もれば山ノート」で学びの成果をためよう
09 オンラインかくれんぼで遊びの概念を広げよう
10 欠席でも一緒にお楽しみ会を楽しもう
11 翻訳機能を使って多言語共生の教室を実現しよう
12 WEB 学習計画表で自主学習を計画・管理しよう
13 自主学習にコメントして、互いに励まし合おう
14 問題を作り合ったり、解き合ったりする家庭学習で力をつけよう
15 カメラ機能を用いて簡単に検索しよう
16 読書の記録を共有しよう
17 「読書パスポート」でおすすめの本を共有しよう
18 校区安全マップをアップデートしよう
19 卒業文集を友達と協働して書いていこう
20 「学びのポートフォリオ」をみんなでつくりあげよう
21 オンライン学習で選択制グループ学習をしよう
22 学習状況を随時共有して協働感覚を養おう
23 意見交流の効率化・活性化を図ろう
24 チャット機能を用いて効率的なジグソー学習をしよう
25 アンケート結果を即時共有して全意見を含んだ話合い活動をしよう
26 複数のプロジェクトを効率よく進めよう
27 子どもの問いを授業の中心に置いて進めよう
28 共有ホワイトボードを用いた「合法カンニング」で共有知識を増やそう
学習
29 「課題ポータル」を用いてまとめかたに選択肢を与えよう
30 チュートリアル動画を作り合って操作スキルを高め合おう
31 学習のまとめを協働で進めよう
32 互いに作文の添削をし合ってよい作品を作ろう
33 授業の空白時間で思考力を高める問題づくりを進めよう
34 プログラミングを漢字学習のまとめに使おう
35 音読を録音して音読交流会をしよう
36 多様な学びの姿を「AI テキストマイニング」で可視化しよう
37 外国語のテストは動画を撮影して何度も挑戦しよう
38 動画撮影をくり返して満足できる演技にしよう
39 パートごとの動画で合奏の練習を自動化しよう
40 スマートスピーカーを授業のアシスタントに用いよう
41 成長振り返り作文にデジタルを取り入れよう
42 会社活動のホームページを作って常時活動を進めよう
43 アジャイルな係活動をクラウドと#(ハッシュタグ)で実現しよう
44 プログラミングで係活動を盛りあげよう
45 児童総会はアンケート機能を使って活性化しよう
46 児童会代表委員会を子どもの手で進めよう
47 「非同期」の児童会で時間にとらわれない話合いをしよう
48 委員会活動の様子を動画で紹介し合おう
49 音声入力機能を使って正確な英語絵本読み聞かせ動画を作ろう
特活・その他
50 オンライン集会で全校参加を実現しよう
51 宿泊行事の様子をリアルタイムでまとめよう
52 卒業式は全校生で参加しよう
53 お礼状は友達の文章を参照して作成しよう
54 担任・子ども・保護者で学級通信を作っていこう
55 補欠計画はチームでリアルタイムで共有しよう
56 複雑な特別支援学級の子どものスケジュールを共有化しよう
57 授業の様子を個別に動画記録して校内授業研究会で活用しよう
58 子どもとともに研究授業を作ろう
59 ハイブリッドな学校運営反省会で少人数の意見を共有しよう
60 「デジタル実習日誌」で待ちを省き、実習生を皆で見守ろう
第3章座談会 学級経営DX の実践を通して考えたこと
学級経営DX 実践に取り組んで感じたこと
「DX ポイント!」が本書の目玉
価値観とDX の関係が可視化されるエピソード
DX を広げる視点
アジャイルであること、失敗から学ぶことを前提とすること
おわりに
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