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自身の頭の中を言語化できる(外化できる)素晴らしさ--佐橋慶彦(著)「バラバラ」な教室に「つながり」を創り出す学級経営戦略図鑑


前作に引き続き,まるで「ゆる絵」のようなイラスト(笑)。佐橋先生の独特なセンスが目を引きます。

佐橋先生とお話をしていて,そんなに大きく目指す学級経営のイメージが異なっていないように思うのですが,こうして,目次を入口に実際の内容に踏み込んで読んでいきますと,わたしとはずいぶんと表現方法が異なることに気がつきます。


書籍終わりに紹介されている「引用・参考文献」を見て,なるほどなぁと思いました。佐橋先生は自身の経験だけをもとに積み重ねたのではなく,それぞれの主張の背景に自分なりの根拠があるわけですが,その根拠がわたしが身近なものとはちょっとズレがあるのです(もちろん,重なっているところもありますが)。

このズレがおもしろいです。

ズレがあるから,学びがあります。

より深く知りたいと思う自分がいます。


「嫌われる勇気」で一躍脚光を浴びたアドラー心理学が「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と説明しているとするのは有名な話です。


わたし自身,「学級経営」に関する多くの時間や配慮を「良好な人間関係の構築」とか「良好な対人関係」に割いてきました。


で「令和の今」,この「良好な」というところがところがポイントで,絶対的なものがあったような気になっていた「昭和」とは違い,すべては「相対化」されるといいますか,個々人によって異なるということなのかなと思います。


ただ,「全てが個々人によって異なる」と言ってしまうと,つまりは100人いれば100人の答えがあるということになり,「それじゃあ,どうしていいかわからない〜〜〜〜」という方のために,佐橋先生は絶妙なバランスで,「つながり」をキーワードに8つの視点での提案をされているということなのかな……と解釈しました。

ホント,佐橋先生らしいです(って,そんなに佐橋先生のこと知らないのに,知ったつもりになっている……ごめんなさい。1回しか一緒に飲んだことないのに……ごめんなさい)。


この本から考えていきたいこと

たぶん,現場で子どもたち同士の良好な関係性をどのように構築していこうか,保っていこうかと悩んでいた,若かりし頃のわたしのような人間には,この15の分析と58の戦略の中から明日へのヒントとなるものが必ずや見つかることでしょう。


と同時に,少し落ち着いて学級を見たり,考えたりできるようになってきている人たちには,改めて2¹世紀も初期から半ばへ向かおうとしている今,個人と組織のウェルビーイングを考えて,「個別最適な学び」「協働的な学び」を実現していく学校や学級とはどうあればよいのかといことを考えてもいきたいなぁとも思っています。


(これは,たぶん,すでに今,学級を担任せず,現場から離れ,理想論を勝手に語ることができる立場にあるからこそほざくことができるのだとは自覚しています……。日々,現場でもがいている方,勝手なことを語ってしまい,申し訳ございません)


佐橋先生の文章から学べること

佐橋先生のような文章を書ける方がどんどん登場してきますと,もはやわたしが活躍する場所はなくなってしまったなぁと思います。


今後,ぜひ若手の先生たちに伝えたいことは,佐橋先生のように日常を,仕事を言語化する習慣づけです。

佐橋先生のこの本は,見開き2ページを1パッケージとして,佐橋先生が伝えたい内容が書かれています。この2ページの中には,佐橋先生お得意のイラスト(図解)も入っているので,文章としての実質は1ページ分前後というところでしょうか。

にも関わらず,パラパラとめくってなんとなく開いたページを読み始めると,そこから次のページ,次のページへとめくるのが止まらなくなります。

それは,その塊(かたまり)ごとに,佐橋先生が経験を通して記録しておいた,または記憶しておいたエピソードを重ねて一般化を図ろうとしているからです。

冗長のエピソードではなく,端的に「ここ!」というところをきりとったエピソードです。力がなければ書けません(わたし,どうしてもエピソードを語る時は,背景に背景を重ねて書いてしまうので長くなってしまいます。本人はわかりやすく説明しているつもりが,読んでいる側はとてもわかりにくいものとなっていることがよくあります)。


書籍を出すかどうかはさておいて,教師としての臨床的な専門性を高めるためには,このエピソードを蓄積していくことが大切ではないかなと考えます。

ぜひ,みなさんも佐橋先生のようにエピソードを書き残すようにしてみたらいかがでしょうか。



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