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言葉は残る。だから言葉は大切「山田洋一(著)クラスを支える愛のある言葉かけ」


どんどん回りくどく,まどろっこしく,話が長くなっていると妻や息子から指摘されているわたしですが(苦笑),それは,「声に出した言葉」ってとても大切だからと思っているからです。


発した言葉は,特に発せられた側に残ります。だから,大切です。


でも,だからといって「回りくどいこと」「まどろっこしいこと」「話が長いこと」の言い訳にはなりませんけどね……苦笑。

これはこれで,ちゃんと考えを改めなければなりません。わたし。


そんな言葉に敏感で,愛情あふれる山田洋一先生の新著です。


相手の立場に立って考えること

山田先生は言います。

この本には,次のようなことは書いていません。 1つ目に,教師の意のままに,子どもを動かす言葉かけです。

これだけで,山田先生の「学級経営」の立ち位置がわかります。

わたしは,自編著「学級経営がうまくいくファシリテーション」にて以下の文章を書いています。

「管理=服従」「規律=訓練」型の学級経営ではなく,秩序のない放任型学級経営でもなく,多様性を尊重する温かい学級経営=21世紀型学級経営に向かっていくためには〜(p21)

山田先生の向かおうとする学級経営とわたしが考える21世紀型学級経営とが同義かは不明ですが,少なくとも「子どもをシメる学級経営」「子どもをコントロールする学級経営」ではないことは確かで,わたしと同じ方向性を目指しているのかなと勝手に解釈し,うれしく感じます。


「教師の意のままに,子どもを動かす言葉かけ」ではない言葉かけとはどういう言葉かけでしょうか。それは,(わたしが解釈するに)「相手(子ども)の立場に立った言葉かけ」ということになります。それがつまりは,「愛のあることばかけ」につながっていきます。


テレビドラマ,映画,アニメ,漫画……では,バイオレンス,アクション,犯罪モノなどの明確な暴力場面があるものを中心に,暴力場面がなくても,その多くは「主人公」中心にストーリーが描かれます。

作り手,そして視聴するものはいかにしてその主人公側に立つか(立たせるか)というところがポイントになってくることが多いです。

それゆえ,相手側は「やられて当然(もしくは殺されて当然)」みたいな感覚になることが多いと思いませんか。あえて向こう側の感情や人となりというものを描かないようにする節もありますね。

そんなとき思います。

その「相手」(どんなにクソ野郎だったとしても)にも,同じ「人」としての「生命」は存在するんだよって。もちろんね,こうした作品は,どう考えても「やられて仕方ないでしょ」「当たり前でしょ」みたいなストーリーの持っていき方をしていくのでしょうけど。


こういう感覚を日常的な感覚にしてしまってはいけません。

特に教師はそういうものに引っ張られてはいけないと考えます。


例にしたのが「暴力的」なものだったから,ここから学校の教室に引っ張ってくると頭の中が混乱するかもしれませんが,特に人を育てることを職業としている教育者にとって,「自分(わたし)都合」ではなく「相手の立場」に立って物事を考えるようになることはとても大切なことだと思うのです。

各場面で,自分目線(教師目線)からすれば,ありえないような言動をしていたとしても,相手からすると(納得して受け入れるかどうかは別として)それはそれで事情があるわけです。

また,複数人がその場にいる時は,どちらか一方の立場に立つのではなく,双方の立場で物事を考えられているかを自分に問うことが大切です。

若い時,視野が狭くてどれだけ失敗したことか。


加えて考えたのが,(本書には書いていなかったように思いますが)わたしが最近,あちこちで語っている言葉に「リスペクト」があります。

どのような立場の人に対しても,どんな人にも,対等に敬意を払って対応するということですかね。もちろん,子どもたちに対してもです。


なお,山田先生は,わたしのような粗い考えではなく,第1章で「愛のある言葉かけとは」と詳しく説明しているのでお読みいただければと思います。p23に「4つのフェーズ」として基本形を取り出している内容は,なるほど!の一言につきます。


具体的な言葉を参考に自分の言葉へ

ベース(あり方,考え方)はわかったとしても,だからといって「その時にふさわしい言葉がその時に出てくる」というわけにはなかなかいきませんよね。


わたしなんか,昨日,ある文章を書いていて「残業」という言葉が出てこなくて,Copilotに「退勤時刻を過ぎても働き続けている状態や様子を簡潔な言葉で教えてください。」って書いて「それは一般に「残業」と言います」って教えてもらった感じ(>_<。)。

(あれ?これは文脈が違うかな。単なる加齢ということでしょうか)

もう,ほんとにだめだわ。


山田先生が挙げた場面に実際に遭遇しても,「うーんと,えっと,ちょっと……」って言ってておわっちゃうんじゃないでしょうか(汗)。

この本には,(わたしの数え間違いでなければ)55の場面において,どのような言葉かけを用いると有効かを具体的な解説をもとに説明してくれています。


でも,この本はマニュアルではありません。


山田先生は「どんな子にも通用し,誰にでもできる言葉かけ(p2)」は書いていないとし,「多くの教師がご自分の状況に応じて,その要素を参考に,言葉かけカスタマイズできるように,示した(p2)」と説明しています。


そりゃあそうですよね。

ぜひ,この本を参考に,……「具体化」⇆「一般化」⇆「具体化」……を繰り返し,自分のものにしていきたいものです。


あっ,ちなみに私の立場であれば,大学の授業でも使えますね。もちろん,セミナーや自主サークルのテキストとしても使えそうです。

来年度,ちょっとした場面で使ってみましょうかねぇ……。


追伸

随分前から教育界でご活躍されている山田先生ですが,わたしが実際にお目にかかってお話させていただいたのは,つい最近,「日本学級経営学会」設立がきっかけです。

わたしの周囲の方々は,山田先生のファンの方が多くて,山田先生のセミナーに頻繁に出かけたり,わたしの地元福島では,山田先生を講師にお招きするということをよくやられていました。

わたしが山田先生を直接知らなかった当時,

「山田先生ってどんな方なの?」

と聞くと,ほとんど全員が

「愛のある方です。」

と答えてました。

もう,当時から「愛」と一緒に歩んでいるような方だったのですよね。


直接,お知り合いになったとき,ホントだと思い,「愛ある方」がピッタリ重なりました。

以来,何度かご一緒させていただいていますが,山田先生がいらっしゃるだけでその場の安心感がアップします。

ご一緒できる時は少しでも山田先生の振る舞いを吸収しようと必死でいるわたしです。



この書籍は,山田先生ご自身と書いてある内容が一致しています。つまりは,「言行一致の書」です。

おすすめです。









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